「なんで謝ってくれないの?」その一言が、ますます謝れなくする理由

「言えばわかるでしょ?」って、思ってたのに

「悪いのはあっちなのに、なぜかこっちが責められてる」

「ごめんって言えばすむのに、それすら言わないなんて…」

「言ったって、どうせまた同じこと繰り返すんでしょ?」

夫婦の会話で
こんな気持ちになったことはありませんか?

または逆に

パートナーから
「なんで謝らないの?」と責められて
ますます謝れなくなった経験はないでしょうか。

夫婦のあいだの
謝れない・謝らない問題には
表には見えない
「感情のもつれ」が隠れています。

このコラムでは
「なぜ謝れないのか?」

そして

「どうすれば謝れるようになるのか?」

カウンセリングの現場で出会った
リアルな声を交えてお伝えします。


謝ってほしいのに、謝ってくれない。その裏には何がある?

「悪かったと思ってるなら謝ればいいのに」

「たった一言、ごめんって言えばそれですむのに」

そう思うのに
なぜか相手は謝ってくれない。

逆に

「謝って」と言われると
なぜか余計に言えなくなる──。

その理由は

性格の問題でも
意地を張っているわけでも
ありません。

実は

「謝る」という行為に
無意識のうちに
「心の防衛反応」が働いている
ことが多いのです。


「謝れない」の裏側にある、6つの感情と思い込み

● 謝ると「自分ばっかり損してる」気がする

「また私が謝るの?」

「いつも我慢してるのはこっちなのに」

そんな思いが積み重なっていくと
謝ることが
「損」や「負け」に
感じられてしまいます。

日頃から

「相手のほうが自由に言いたいことを言っている」と感じていたり

「こっちばかり折れてる」と感じていたりすると

謝ること自体に
大きな抵抗が生まれるんです。


● 謝ったら、相手がさらに責めてくる気がしてしまう

謝ろうとしても
なぜか言葉が出てこない。

モヤモヤする。
ためらってしまう。

その感覚の奥を
丁寧に見ていくと
実はそこに「怖さ」があります。

「謝ったら、もっと責められるかもしれない」

「その瞬間に、すべて自分が悪いことにされるんじゃないか」

そう感じてしまうと
謝ること自体が
自分を危険にさらす行為のように
思えて
無意識に
ブレーキがかかってしまうんですね。


● 謝るほどのことじゃないと思っている

「それくらいで怒るの?」

「ただの冗談だったのに」

自分にとっては些細なことでも
相手にとっては
深く傷つくこともあります。

この

「感じ方の違い」
気づけていないと

「謝る必要なんてないのに、なぜ自分が…?」
という反発が生まれ
謝る気持ちが遠のいてしまうのです。


● 自分のことは全然わかってもらってないのに、謝るなんて納得いかない

本当は

こちらにも言いたいことがある。

感情が高ぶったのには
理由があるし
言い方がきつくなった背景もある。

でも

そういう事情や気持ち
理解されないまま
「謝ってよ」とだけ言われると

まるで自分の存在そのものが
軽く扱われたように
感じてしまいます。

「私のこと、全然わかってないじゃん」

「そこ無視して、何がごめんなの?」

そんなふうに思えば思うほど
「謝る」という行動が
「自分を下げること」のように
感じられて
心が強く拒否してしまうのです。

これは

単なる意地ではなく
「自分の気持ちをちゃんと扱ってほしい」という
強い願いの裏返しなのかもしれません。


● 「言い訳だ」と思われそうで、口が重くなる

「ごめん。でも…」と
続けたくても

それが言い訳に聞こえてしまいそうで
言葉を飲み込んでしまう。

特に

過去に「言い訳しないで」と
言われた経験がある人ほど
自分の本当の気持ちすら
説明できなくなってしまうんです。

これは
「言ってもわかってもらえないかもしれない」という
深い不安が関係しています。


● 自分の傷ついた気持ちに、まだ触れたくない

これが
いちばん気づきにくい
謝れなさ」かもしれません。

相手の言葉や態度に
実は自分が深く傷ついていた。

でも
その痛みを整理できないうちは
謝ることができません。

謝るという行為は
相手の気持ちに寄り添うだけでなく
自分の痛みにも触れることだからこそ
準備が整っていないと
踏み出せないんです。


優秀な人ほど、謝れなくなることがある

これはカウンセリングをしていて
よく感じることです。

仕事では謝れるのに
なぜか夫婦では謝れない──

そんな人は、実はとても多いのです。

責任感があって
理性的で
周囲に気をつかえる人ほど

「謝ったら相手がどう反応するか」

「自分の立場がどうなるか」

そんなふうに先回りして考えてしまいます。

その思慮深さがあるからこそ
心が自分を守ろうとして
無意識に防衛モードに入ってしまう。

特に

感情のぶつかり合いが
苦手な人にとって

「謝ったあとに何が起きるか」が
読めないことは
大きなストレスなんです。

でも

その防衛は
ときに
「距離を置いてしまう言い方」
「無言の反抗」
として出てしまい

関係を余計に
こじらせてしまうこともあります。


謝る=自分を下げること、ではない

「謝ったら、負けたことになる」

「全部自分が悪いってことになる」

…そんなふうに感じていると

謝ること自体に大きなハードルを感じてしまいますよね。

でも本当は
「あなたを大切に思っているよ」という意思表示であり

「ちゃんと向き合いたい」という
関係を深めるアクションでもあるんです。

  • 「さっきの言い方、きつかったかも。ごめん」
  • 「気持ちに余裕なかった。ごめんね」
  • 「そう感じさせてたなら、申し訳なかった」

こんなふうに

自分の言葉で伝えることができたら、それはもう十分なんです。


謝るためにできる、3つの準備

1. 自分の感情に正直になる

モヤモヤする
イライラする
むなしい…

そう感じたら
「どうしてそう感じたのか?」と
一歩深く見つめてみましょう。

2. 自分らしい言葉で伝える

完璧な謝罪を目指さなくて大丈夫。

自分の気持ちを込めた一言で
十分伝わります。

3. タイミングを選ぶ

感情が高ぶっているときは
謝っても伝わりにくいもの。

落ち着いた時間に
そっと切り出すだけで
うまくいくこともあります。


謝ることは、関係を前に進める「合図」

「謝れない」って
決して悪いことじゃありません。

そこには
自分を守ろうとする気持ちや
「ちゃんとわかってほしい」と
いう切実な思いがあるからです。

でも

少しでも「関係をよくしたい」と思っているのなら──

謝るという行動は
ふたりの関係を
もう一度つなぎ直す
合図」になります。


カウンセリングという「安全な場」で、本音を整理してみませんか?

ここまで読んでくださって
ありがとうございます。

改めまして
福岡で夫婦カウンセリングをしている「セブンラボ」の
山口てるよしです(夫の方です)。

わたしたちは

30代の子育て世代のご夫婦を中心に
「話し合いができない」
「すぐケンカになる」
「謝ってくれない・謝れない」

そんな
すれ違いに悩む方たちを
サポートしています。

自分の気持ちに
ちゃんと向き合いながら
相手と関係を築き直していく──

そのための
安全な準備運動の場」として
カウンセリングを
活用していただければと思います。

ご相談は
福岡の対面だけでなく
オンラインでも可能です。

「少し話してみたいな」

そう思ったときは
どうぞ気軽に声をかけてくださいね。


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投稿者プロフィール

山口 晃歓
山口 晃歓
公認心理師(登録番号 第45405号)
一般社団法人メンタルヘルス協会上級心理カウンセラー
日本マイブレス協会認定ブレスプレゼンター