早期退職か定年まで働くか

”キャリアプランとマネープラン”の事例

依頼主50代 男性 正社員 Kさん
ご相談内容4年制大学卒業後、事務機器メーカーに入社し、30年経過。
法人営業部門及び保守サービス部門の仕事に携わってきた。
45歳以上の早期退職の公募があり、応募すべきかどうか迷っている。
心配をかけると思って、家族には相談していない。
結果自身の仕事のやりがいと家族の生活や老後資金のことをよく考えて、早期退職には応じず、現在の会社に勤務し続けることにした。

ご相談の詳細

オフィスのペーパーレス化の波が押し寄せ、事務機器メーカーにとっては厳しい状況が進んでいます。
会社からは早期退職への強い要請が感じられるけれど、家族の将来を考えると慎重に考えたいと思います。

家族構成は 専業主婦の家内と高校3年生の長男、高校1年生の長女の4人です。
今回の事は家族には一切話していません。
話せば、家内は反対するに決まっていますし、長男は大学受験を控えているので、心配をかけたくありません。

今やめると割増退職金がもらえます。
ただ、この年齢で次の仕事が見つかるのかとても不安です。

今までの経験が活かせて、やりがいのある仕事が見つかればいいと思います。
だけど、今まで転職の経験もないし、特別の資格や才能があるわけでもありません。
転職先が見つかっても、収入は少なくなるでしょうし、子供の教育費や自分たち夫婦の老後のことを考えると心配でたまりません。

どうしたらいいでしょうか。

解決までのみちのり

仕事にやりがいを感じながら、家族を養うために一つの会社で30年間働き続けてきたKさん。

早期退職募集という言葉を聞いたときのKさんの思いや重みのある30年間をねぎらいました。
特別の資格や才能はないとKさんはおっしゃっていますが、そんなことはありません。
30年間を振り返ってもらうと、職業上の経験などから得られた知識・能力・スキルが見えてきました。

さらに、仕事上でKさんに影響を与え、印象に強く残っている経験・エピソードを尋ねます。
30年という歳月の中には、良かったこともそうでなかったこともありました。
この話を基に、ライフラインチャートというものを作っていただきました。
過去のマイナスに思える出来事から、どのように立ち直っていったかを思い出してもらうためです。

そして、仕事をしていくうえでのこだわり、大事にしたい価値観について話してもらいます。
その上で、Kさん自身は今後、どのような働き方、仕事の仕方をしたいと思っておられるのかについて、うかがいました。

次に、今後の家計状況をシミュレーションします。
毎月どの程度の支出があるのか、お子さんの教育費や老後の備えはいくら必要なのかを計算しました。
収入は、早期退職に応じた場合と応じなかった場合の二通りを考えます。
そのため、早期退職に応じなかった場合の処遇はどうなるのか、会社に確認していただきました。
もちろん、年金をいくらもらえるのかも計算します。
具体的な数字を出していくことで、大きかった不安感が少なくなったようです。

家族に心配をかけたくないという思いから、相談できなかったKさん。
その後、奥様にご相談され、収入が減っても老後も安心できるよう、協力し合っていくことになったそうです。

責任感の強いKさんにとっての経済的な見込みは、大きな安心感につながったようです。
定年まで今の会社で働き続ける決心をされました。
そして、セカンドキャリアについても思いを巡らせ、やりがいを感じる日々を送っておられると聞いています。