再構築したいのに話し合えない
夫の風俗が発覚した後
やり直そうとしているのに
話し合いができない。
再構築を望んでいるのに
止まってしまうとき
ふたりの間で何が起きているのかを見ていきます。
このコラムの目次
今回の相談について
こういう相談がありました。
夫の風俗利用が発覚して1年。
感情の波を繰り返しながらも
誓約書を作って
リスタートしようと提案した妻。
ところが夫は
「ずっとモラハラに苦しんできた」
「感情の波にどう対応すればいいのか」と言い始め
話し合いは止まった。
背景にあるのは
子ども三人のワンオペ育児と
仕事の両立。
夫は家事育児をほぼ担わず
助けを求めても応じず
その間に風俗に通っていた。
発覚時には逆ギレして
「愛していない」とも言った。
妻が具体的にどんな言動で
傷ついたのかを尋ねたところ
夫が挙げたのは
「日本語わかる?」
「バカなん?」という妻の言葉だった。
追い詰められた状態で
出てしまった言葉であることを
妻は認め、謝罪している。
けれど
なぜそこまで追い詰められたのか
そのことに
夫は目を向けようとしない。
妻は自分の言動も振り返っていた。
けれど夫は
「変わってくれたら」と言い
話し合いは進まない。
「正直疲れた」という妻の言葉で
相談は締めくくられていました。
やり直したいのに話し合えない
福岡で夫婦カウンセリングをしている
セブンラボの公認心理師夫婦が
実際の相談で多いケースをもとにお伝えします。
風俗の発覚後に
再構築を試みる夫婦が
話し合いの入り口で止まる。
これは珍しいことではなく
むしろ再構築の初期にもっともよく起きることです。
むしろ
何とかしようとしている人ほど
この状態に陥ります。
やり直したいという気持ちは本物。
それでも話し合いは進まない。
これはお互いがおかしいわけではありません。
話し合えないのは
ふたりの能力の問題ではない。
言えば言うほど、話はずれていく。
そして
そのたびに疲れだけが残っていきます。
怒りと不安が揺れ続けている
まず、感情の話から始めましょう。
このケースでは、妻にそれだけのことが起きています。
ワンオペで
三人の子どもを育てながら
仕事もして
限界に近い状態で助けを求めた。
それでも
ひとりで回し続けるしかなかった。
しかもそれは
一度きりではなく
ずっと続いてきたことです。
その相手が
同じ時期に風俗へ行っていた。
裏切られた
というだけではありません。
「助けてほしかったときに
助けてもらえなかった」という
感覚が残っている。
怒りが波を打つのは当然です。
「もう許そう」と思える日と
「やっぱり無理だ」と崩れる
夜が来るのも、自然なことです。
揺れてしまうのは
おかしなことではありません。
問題はその揺れではなく
その苦しさが
相手に届いているかどうかです。
「わかってほしい」が届かない
次は
「モラハラ」という言葉が出てきた場面です。
妻が助けを求めていた側なのに
なぜ加害者のように扱われるのか。
その混乱は、当然のものです。
責められ続けてきた、という感覚。
何を言っても通じない、という行き詰まり。
そうした中で
人は相手に一つの言葉で
説明しようとすることがあります。
その言葉の正しさを争い続けても
関係は前に進みません。
ここで起きているのは
正しさではなく
心を守ろうとするぶつかり合いです。
実際に夫が挙げたのは
「日本語わかる?」
「バカなん?」
という妻の言葉でした。
その言葉で傷ついたことは
受け止める必要があります。
同時に——
なぜそこまで追い詰められていたのかも
同じように見ていく必要がある。
いちばん苦しかったところが
今も受け取られていない。
そこが
このすれ違いの核心にあります。
正しさのぶつかり合いが続く
ここで
起きていることを整理しましょう。
妻側には
動かしがたい事実がある。
・夫は家事育児をほとんど担ってこなかったこと
・その中で風俗に通っていたこと
・発覚時に逆ギレし、「愛していない」と言ったこと
夫側にも
夫なりの事実があります。
・言葉で傷つけられてきたという感覚
・感情の揺れに疲れているという感覚
どちらも
本人にとっては本当のことです。
ただ——
ここで見落としやすい違いがあります。
妻が経験してきたのは
長い時間をかけて
積み重なってきた孤立と消耗です。
夫が訴えているのは
言葉によるダメージです。
どちらも無視してはいけない。
でも、同じものではありません。
この違いを見ないまま
「どちらが正しいか」を争い続けても
関係は動きません。
残るのは
どちらかが勝ち
もう一方は負けたというだけです。
なぜ相手を変えたくなるのか
「変わってくれたら」という夫の言葉。
他責に見えますし
実際にそういう面もあります。
ただ
ここで少し立ち止まりましょう。
関係が崩れそうなとき
人は相手を変えることで
何とかしようとします。
「このままでは壊れる」という怖さがあるからです。
まず見失いたくないのは
妻の側が背負ってきた負担の大きさです。
その一方
夫にも怖さがあるのかもしれません。
ただ、その怖さが
自分の行動を見ない形で出ているとしたら
関係はさらに動かなくなります。
妻の側も
誓約書という形で関係を固定しようとした。
それもまた
不安への反応として見ることができます。
「どちらが正しいか」から離れる
傷つけられた側が
それでも相手の事情を考えようとしている。
これは簡単なことではありません。
ただ
ひとつだけ
押さえておきたいことがあります。
相手を理解しようとすることと
自分の苦しさを後回しにすることは
同じではありません。
「私にも悪いところがあった」と思うことが
「私の苦しさは大したことじゃない」に変わっていくとしたら
そこで一度立ち止まる場面かもしれません。
「正直疲れた」という言葉は
弱さではなく
限界まで向き合ってきた証です。
話し合える状態とは
ここまで見てきたのは
「話し合えない状態」です。
では
話し合える状態とは
何が違うのでしょうか。
それは特別な話し方ができることではありません。
カッとなった気持ちを
そのままぶつけずに
いったん飲み込めるか。
「さっきのあれ、つらかった」と
もう一度言い直せるか。
この違いがあると
話し合いは少しずつ成り立ち始めます。
逆に
これができないまま話し合おうとすると
内容がどれだけ正しくても
すれ違いは繰り返されます。
関係を決める前に見ておくこと
今回の相談のような状態で
話し合いを続けても
見えていないものは
見えないままです。
ひとりで考えている限り
同じところを回り続けることになりかねません。
お互いが守りに入っているとき
言葉は届きにくく
そのままぶつけ合うと
傷だけが積み重なります。
そして、第三者が間に入ることで
言葉が届く状態が作られることがあります。
夫婦カウンセリングは
どちらが正しいかを決める場ではありません。
それぞれの言葉が届くように
整理していく場です。
続けるかどうか
離れるかどうか——
その判断は
見えてから選べばいい。
そして、夫婦カウンセリングは
疲れたままで来ていいし
迷ったままで来ていいんです。
ひとりで抱えたままだと
見えなかったのに
言葉にすることで
少しずつ見えてくることがあります。
よくあるご質問
-
夫婦の再構築は本当にできるのでしょうか?
-
再構築は「やり直そう」と決めることから始まるわけではありません。
ふたりの間で何が起きていたのかを、どう見ていけるか。
そこから関係の見え方が変わっていきます。「続けたいかどうか」も、そのあとで少しずつ見えてくることがあります。
-
夫に「モラハラ」と言われたらどうすればいいですか?
-
その言葉が正しいかどうかを先に決めようとすると、対立が強くなりやすくなります。
まずは、なぜその言葉が出てきたのか。
そのとき、ふたりの間で何が起きていたのかを見ていくことが大切です。
-
話し合いができないのですが、どうすればいいでしょうか?
-
話し合えないことそのものより、話し合えない状態が続いていることが問題になることがあります。
その状態のまま言葉を重ねても、すれ違いが深くなりかねません。
まずは、どんなときに言葉が届かなくなっているのか。
そこから見ていくことが、結果的に話し合いにつながっていきます。
-
夫ばかりが悪いように感じてしまいます。
-
そう感じるのは、それだけ傷ついているということです。
相手を理解しようとすることと、自分の苦しさを小さくすることは別のことです。
まずは、自分がどこでつらさを感じているのか。
そこに目を向けることが出発点になります。
-
このまま続けるか離れるか、決められません。
-
決められないのは、まだ見えていないものがある状態です。
無理に答えを出そうとすると、かえって苦しくなることがあります。
今起きていることが少し整理されてくると、自分がどうしたいのかも、少しずつ見えてきます。
投稿者プロフィール

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公認心理師(登録番号 第45405号)
一般社団法人メンタルヘルス協会上級心理カウンセラー
日本マイブレス協会認定ブレスプレゼンター
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