夫婦の危機はなぜ訪れるのか?──愛情があるのに関係が壊れていく理由
夫婦の危機は
突然やってくるように感じられることがあります。
愛情はある。
嫌いになったわけでもない。
それでも
関係がうまくいかなくなり
離婚や別居という言葉が
ふと頭をよぎる。
「どうして、こんなことになってしまったんだろう」
そう自分に問いかけながらも
はっきりした理由は見つからない。
話し合おうとしても
かえって関係が悪くなってしまう。
そんな経験はありませんか。
実は、夫婦の危機は
愛情がなくなったから起こるのではありません。
多くの場合
「わかってほしい」という思い
「自分を守ろうとする反応」が
すれ違うことで
少しずつ関係が壊れていきます。
このコラムでは
愛情があるにもかかわらず
夫婦関係が苦しくなってしまう背景と
多くの夫婦が気づかないうちに
繰り返している関係の流れについて
日常の感覚に沿って整理していきます。
夫婦の危機は
愛情がなくなったからではなく
不安に反応する仕方がすれ違い
悪循環が続いてしまうことで深まっていきます。
夫婦の危機はどこから始まるのか
夫婦の危機は
大きな出来事や
決定的な一言から始まるとは限りません。
多くの場合
もっと手前の
ごく日常的なところで
静かに始まっています。
出会った頃や、新婚の頃。
パートナーは
そばにいてくれました。
呼べば応えてくれたし
話をきいてくれた。
あなたが疲れているときや
不安を感じたときには
言葉や態度で
安心を与えてくれたはずです。
だからこそ
「この人がいるから大丈夫」
そう感じられたし
心がつながっている実感が
ありました。
ところが
子どもが生まれたり
仕事が忙しくなったりして
一緒に過ごす時間が
少しずつ減っていく。
会話の内容も
予定や段取り
必要な確認だけになっていきます。
その変化は
最初は小さなものです。
すぐに「危機」だと気づく人は
ほとんどいません。
ただ
以前なら自然に満たされていた
「そばにいてもらえている」
「応えてもらえている」
という感覚が
少しずつ薄れていきます。
すると
寂しさや不安が生まれます。
もっと一緒にいたい。
もっとわかってもらいたい。
もっと話したい。
それは
相手を責めたいからではありません。
愛しているからこそ
つながりを感じたいという
ごく自然な思いです。
けれど
この思いがうまく伝わらないまま
積み重なっていくと
夫婦の関係は
少しずつ苦しさを帯びていきます。
夫婦の危機は
この「小さな違和感」が
見過ごされたまま
続くところから始まっているのです。
愛情があるのに届かなくなる理由
愛情があるのに
気持ちが届かなくなる。
このすれ違いは
決して珍しいことではありません。
むしろ
夫婦の危機を迎える多くの関係で共通して起きている現象だと言えます。
そばにいてもらえている感覚が
薄れてくると
人は不安になります。
その不安は
やがて
「もっとわかってほしい」
「もっと応えてほしい」
という強い思いに
変わっていきます。
もっと一緒に過ごしたい。
ちゃんと話をきいてほしい。
気持ちをわかってほしい。
これらはすべて
愛情があるからこそ生まれる
ごく自然な欲求です。
けれど
この思いが
満たされない状態が続くと
心の中に溜まっていた
不安や寂しさは
だんだんと
強い感情として表に出てきます。
声が大きくなる。
言葉がきつくなる。
何度も同じことを訴えてしまう。
本人にとっては
「助けてほしい」
「つながりを取り戻したい」
という精一杯のサインでも
パートナーには
別の形で伝わってしまうことがあります。
「責められている」
「否定されている」
「自分は大切にされていない」
そんなふうに
受け取られてしまうのです。
すると
パートナーの心の中にも
不安が生まれます。
自分の存在が
脅かされているように感じ
無意識のうちに
自分を守ろうとする
反応が起こります。
固まる。
黙る。
距離を取る。
話題を避ける。
あなたから見ると
それは
「逃げている」ように
見えるかもしれません。
けれど実際には
相手もまた
傷つかないように必死で
自分を守ろうとしている状態なのです。
こうして
「近づきたい人」と
「守ろうとする人」のあいだで
気持ちはますます
噛み合わなくなっていきます。
愛情があるからこそ
生まれた思いが
逆に
相手との距離を広げてしまう。
それが
愛情があるのに
気持ちが届かなくなる理由です。
話し合いが逆効果になるとき
関係を良くしたくて
話し合いの時間を取ろうとする。
多くの夫婦が
ここで何とかしようとします。
「ちゃんと話せばわかってもらえるはず」
「向き合えば、きっと変わる」
そう信じているからです。
けれど実際には
話し合おうとするほど
関係が悪くなってしまうことがあります。
言い合いになる。
相手が黙ってしまう。
途中で話が終わってしまう。
そして話し合いのあとには
疲労感や虚しさだけが残る。
なぜ
こんなことが起きるのでしょうか。
このとき起きているのは
「話し合いが足りない」ことではありません。
すでに
お互いの心が強い不安や緊張に包まれている状態で
言葉を交わそうとしているのです。
近づきたい側は
必死に伝えようとします。
声のトーンが上がり
言葉が重なり
説明や要求が増えていきます。
一方で
守ろうとする側は
それを「攻撃」や「責め」と感じてしまいます。
どう返せばいいのかわからない。
何を言っても
また傷つけてしまいそう。
そう感じたとき
人は言葉を失います。
黙る。
視線をそらす。
話題を変える。
その場から離れる。
本人にとっては
これ以上状況を悪化させないための行動でも
相手から見ると
「無視された」
「拒絶された」
ように映ってしまいます。
すると
近づきたい側の不安はさらに強まります。
「やっぱり向き合ってくれない」
「何度言ってもわかってもらえない」
そう感じて
いっそう強く訴えてしまう。
こうして
話し合いの場が
理解を深める時間ではなく
お互いの不安を
刺激し合う時間に変わってしまうのです。
話し合いが逆効果になるのは
言葉の選び方が悪いからではありません。
すでに
心の距離が縮みにくい状態で
向き合おうとしていることが
原因なのです。
追う人と距離を取る人の悪循環
ここまで見てきた流れを
少し引いた位置から整理してみましょう。
夫婦のあいだでも
不安を感じたときの反応の仕方が
人によって異なります。
不安になると
相手に近づこうとする人がいます。
話したい。
わかってほしい。
つながりを取り戻したい。
一方で
不安になると
距離を取ろうとする人もいます。
黙る。
考える時間がほしい。
これ以上傷つかないように身を守る。
どちらが正しい、間違っている、という話ではありません。
どちらも
関係を守ろうとする反応です。
ただ
この二つの反応が組み合わさると
夫婦のあいだに
抜け出しにくい流れが生まれます。
近づきたい人が不安を感じる
↓
相手に強く訴える
↓
距離を取りたい人が脅威を感じる
↓
黙る・避ける
↓
近づきたい人は
さらに不安になる
この循環が続くと
お互いに
「どうしてわかってくれないのか」
という思いだけが強まっていきます。
近づきたい側は
「自分ばかりが頑張っている」
と感じるようになり
距離を取る側は
「何をしても責められる」
と感じるようになります。
こうして
本当は守りたいはずの関係が
お互いにとって
安心できない場所に変わっていきます。
この悪循環の中では
どちらか一方が努力しても
状況はなかなか変わりません。
なぜなら
問題は感情の強さや性格ではなく
二人のあいだで起きている
「反応の組み合わせ」にあるからです。
夫婦の危機から抜け出す視点
ここまで読んで
「じゃあ、どうすればいいのか」
そう感じたかもしれません。
まず大切なのは
この悪循環を
「どちらかが悪い問題」として扱わないことです。
追いかけてしまう人も
距離を取ってしまう人も
本当は
関係を壊したくてそうしているわけではありません。
それぞれが
不安や痛みから
身を守ろうとしてきた結果
今の形になっているだけです。
夫婦の危機から
抜け出すために必要なのは
相手を変えようとすることでも
自分を我慢させ続けることでもありません。
今まで無意識に繰り返してきた
「反応の流れ」に気づき
その扱い方を少しずつ変えていくことです。
たとえば
不安が強まったときに
すぐに話し合いに持ち込むのではなく
まず
その不安そのものを整理する。
相手が黙ったときに
「拒絶された」と決めつける前に
何が起きているのかを
立ち止まって見直す。
そうした小さな視点の変化が
関係の空気を
少しずつ変えていきます。
ただし
この作業を二人だけで行うのは
簡単ではありません。
なぜなら
長く続いてきた関係ほど
同じ反応に引き戻されやすいからです。
セブンラボでは
夫婦のあいだで起きている
悪循環を整理しながら
責め合わずに
関係を立て直すための
サポートを行っています。
もし今
「このままではいけない気がする」
「一度、きちんと整理したい」
そう感じているなら
それは
関係を見直す大切なタイミングかもしれません。
まずは
どんな整理の仕方があるのかを
知るところから
始めてみてください。
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投稿者プロフィール

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公認心理師(登録番号 第45405号)
一般社団法人メンタルヘルス協会上級心理カウンセラー
日本マイブレス協会認定ブレスプレゼンター
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